【中学3年生の不登校】学業不振からの復学事例と対策

不登校支援の解決事例

中学3年生の不登校にはさまざまな原因がありますが、その中でも「学業不振」が大きな原因となることは少なくありません。学校の勉強についていけなくなり、そのストレスから不登校に陥ってしまう生徒が多くみられます。

特に、中学3年生は高校進学を控え、プレッシャーが一層高まる時期です。このプレッシャーが不登校を引き起こす一因となることが多いため、早期に対策を講じることが重要です。

今回は学業不振が原因で不登校になった学生の事例をもとに、どのようなサポートを行って復学することができたのかをご紹介したいと思います。

今回紹介する生徒は元々成績がそれほど悪くはなかったものの、徐々に学校の勉強についていくのが難しくなり、テストの点数も思うように伸びなくなっていました。

進路を考える時期に差し掛かり、周囲の友達が受験に向けて勉強を頑張っている中、「自分はどうせ無理だ」と感じ始め、次第に学校に行くのが嫌になり、ついには不登校となりました。

周囲からは、極端に成績が下がったわけでもなく、突然やる気がなくなったように見えたようで、落ち込んだ様子というよりも単にオンラインゲームにのめりこみだして不登校になっただけのように受け取られていました。

1.学業不振による不登校の特徴とその影響

学業不振が原因で不登校になる場合、「勉強がわからない」という不安やストレスを抱えているケースが多くあります。授業についていけなくなることで自己否定感が生じ、最終的には学校に行くこと自体が億劫になってしまいます。このとき、子どもは「自分はできない」という感覚に苛まれ、自信を失います。そして、これ以上学校に行っても無駄だと思い始め、不登校が始まってしまいます。

中学3年生の場合、進路に対するプレッシャーも重なり、学業不振が深刻化しやすい時期です。将来に対する不安が、さらに勉強へのモチベーションを低下させ、「自分はどうせ高校に進学できない」というネガティブな思考に陥ってしまいます。このような状況に陥ると、子どもは学校に行くこと自体がストレスになり、日常生活に支障をきたすことが多くなります。

2.学業不振の影響と心理的要因

今回の不登校のきっかけは「成績の低下」でしたが、その背景には「高すぎるセルフイメージ」が隠れていました。自身は「自分はもっとできるはず」という理想を持っていましたが、現実とのギャップが大きくなるにつれて、自分に対する失望感が強くなっていったのです。彼は成績が悪くなったことで自分の価値を否定し、次第に「現実を見たくない」と考えるようになりました。それに伴ってオンラインゲームにのめりこむようになりました。

このようなケースでは、単に成績が低いことが原因ではなく、「自分はもっとできるべきだ」という理想との乖離が問題となっていることが多いです。そして、「できない自分」に気づきそうな予感から勉強に向き合うことに「怖さ」を感じています。中学3年生は進路に対するプレッシャーが高まる時期であり、そのプレッシャーが不登校を引き起こす要因となりやすいのです。

3.学業不振による復学支援方法(アプローチから継続登校まで)

3-1.高すぎるセルフイメージの再構成

まず、最初に行うべきは「学習への不安を自覚できるようにすること」です。今回の事例では、再登校の際に不安なこととして「勉強の問題」を自分で認めることができませんでした。「勉強面は大丈夫です」と不安はないというようよりも、「どちらかというと自信がある」という態度が見られました。

学業不振が原因で不登校になる子どもは、勉強そのものに対する苦手意識だけでなく、自己イメージのギャップに苦しんでいることが多いです。そのため、親としては「成績を上げること」を目標にするのではなく、セルフイメージをうまくコントロールできる環境を整備したり、「自分に自信を持てるようになったり」できることを第一に考えるべきです。

勉強以外の部分での自己肯定感を高め、少しずつ勉強に対する抵抗感を減らすことと、継続登校で自然と学習に向かう意欲が湧いてくるようになります。

不登校期間が長い場合、再登校するときには「どこまで進んでいるのか?」「習っていない部分はどんなことをみんなは進んだんだろう」とどの子どもも大きさに差こそあれ一応に不安を感じます。「不安がない」「大丈夫」という発言は要注意です。

長期の不登校になっている生徒に対してもセルフイメージを一旦下げてみます。それは「不登校による欠席期間により」「学力が下がった」のではなく、シンプルに「欠損期間」があるので、「分からない」「解けない問題」が当分続くということを理解してもらいます。これは一見ストレスが増えそうに見える対応です。

しかし、学力への強い不安と高いセルフイメージが、前に進むことを阻害している今回のようなケースは、「不登校期間の勉強ができていない期間」があるということを逆手に取る手法です。不登校で勉強できてなかったのだから、しばらく勉強は分からなくて普通のことだよね,という共通認識を共有します。勉強に負担が生じてしまっているのは「過去の欠席期間」のせいであって「あなたの学力とは関係ない」というセルフハンディキャッピングを人工的に起こして、「できない自分」に直面しても「過去の不登校期間」に他責できる状況をつくのです。

3-2.勉強以外の面でのサポート

また、学業不振が原因で不登校になる子どもは、往々にして「勉強=自分の価値」と考えてしまう傾向があります。自分の成績が悪くなることで、全体的に自己肯定感が低下していました。そのため、勉強以外の部分での自己肯定感を高めるサポートも重要です。彼が他の面でも価値があることを認識できるよう、訪問カウンセリング中に趣味のゲームなど、彼が得意とする分野での自己肯定感を高めて、「ゲームがうまいあなた」「親切なあなた」「気配りのできるあなた」など複数のアンカーとなる自分像を持てるように促します。

再登校予定日までの3週間で学校の準備や遊びを通じて訪問カウンセラーと関係を深めていきます。

3-3.復学までのプロセス

訪問カウンセリングや低下させられたセルフイメージを通じて、カウンセラーと一緒に学校へ戻るための準備を進めやすくなりました。

登校予定日にも学校に戻れました。短期適応期から中期適応期は、学校行くだけにパワー配分できるようにしました。


復学後も、勉強に対するプレッシャーをかけず、彼のペースで学習を進めることに重点を置きました。そして、受験勉強に対しても、無理に進めるのではなく、彼が自然と「勉強を頑張りたい」と感じるタイミングを待ちました。その結果、Bさんは受験にも成功し、無事高校進学を果たしました。

4.親ができることと専門家のサポート

学業不振による不登校は、進路へのプレッシャーが強くなる中学3年生に特に多く見られます。しかし、適切なサポートを行うことで、子どもは再び自信を取り戻し、学校生活に戻ることができます。親としては、まず子どもの気持ちに寄り添い、焦らずに少しずつサポートしていくことが大切です。そして、必要に応じて専門家のカウンセリングを受け、適切な対策を講じることで、子どもは前に進む力を取り戻すことができるでしょう。

希望を持って前進するために

不登校は多くの家庭にとって大きな課題ですが、適切な支援と連携によって、子どもが再び学校に通うことが可能です。FHEの包括的な支援プログラムは、心理療法としての家族療法での家庭内対応支援、訪問カウンセラーによる心理的支援、コーチング各方面からアプローチし、不登校生徒の復学をサポートします。 私たちのサービス「FHE」では、国家資格を持った心理職が3から5人でチームを作り、専属でお子さんの支援を行います。この体制により、他の支援機関では得られない安心感を提供しています。チーム全体で子ども一人ひとりに寄り添い、最適な支援を提供することで、より効果的な復学支援が可能となります。 親も安心して取り組める具体的なアクションプランを持ち、希望を持って前進しましょう。目指すべきはみんなで「いろいろ子どものためになることを考えて子育てするって大変だよねー」と笑いながら進められる支援です。

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