【中学3年生の不登校】人間関係の問題に対する復学事例と対策

不登校支援の解決事例

中学3年生の女生徒はクラスメートと良好な関係を築いており、学校生活にも問題はありませんでした。しかし、中学3年生に進級した際、クラス替えがあり、彼女はこれまで仲の良かった友達と別のクラスになってしまいました。新しいクラスでは知り合いが少なく、次第に学校に行くことに対して不安を感じるようになり、最終的には学校に行くのをやめ不登校になってしまいました。

人間関係は、思春期の子どもにとって非常に大きな影響を与える要因です。特に中学3年生の時期は、クラス替えや進路選択などさまざまな変化が重なるタイミングでもあり、人間関係が原因で不登校になるケースが往々にあります。女性徒の場合特に複雑で、周りからは気づかないことも多くあります。いじめや友達との関係の変化、孤立感などが、不登校の大きな要因となります。

この記事では、人間関係が原因で不登校になった中学3年生の具体的な事例をもとに、どのように対策を講じ、子どもが再び学校に通えるようになったかをご紹介します。

1.人間関係による不登校の特徴

人間関係が原因で不登校になる場合、子どもは「誰からも話しかけてもらえない」「学校に行くと嫌なことがある」と感じることが多いです。特に、クラス替えや新しいグループへの適応が難しくなることで、学校に行くのが怖くなることがあります。このような場合、単純に「行きたくない」と言われても、その背後には「誰にも会いたくない」という深刻な孤立感があることが多いのです。

中学3年生は進路に向けた準備が始まる重要な時期であり、クラス替えや友人関係の変化が、彼らにとって非常にストレスとなります。クラスメートと疎遠になったり、仲の良かった友達と別のクラスになったりすると、学校生活への不安が増し、不登校を引き起こす原因となります。

2. 人間関係の問題の分析

不登校の原因は「環境の変化に対する適応困難」でした。新しいクラスに馴染めず、友達との距離を感じることで、彼女は「自分は孤立している」と感じるようになりました。人間関係が不安定になることで、次第に学校に行くのが怖くなり、不登校になりました。

このようなケースでは、子どもは「自分には居場所がない」と感じることが多く、その結果、学校に行くこと自体が苦痛になります。また、新しいクラスメートとの関係構築が難しいと感じることで、さらに孤立感が強まり、不登校が長引くことがあります。

3.人間関係による不登校への対策

3-1.関係性の再構築

クラス替えや友人関係の変化が原因で不登校になった場合、まずは「新しい関係性の再構築」が必要です。先ず、彼女が新しいクラスメートと打ち解けやすいように、学校へ訪問カウンセラーと両親で相談に行き、クラス内でのサポートがどのような形で行えるか話し合いました。たとえば、休んでしまった期間が長くなり学校内で分からないことが多いので、特定のメンバーを挙げてもらい質問や話しかけやすい状況を作ってもらいました。

3-2.コミュニケーション能力のサポート

また、人間関係が原因で不登校になる場合、子どもが「コミュニケーション能力に自信がない」「なぜか分からないがうまくいかない」と感じていることがよくあります。当生徒も自分から積極的に話しかけることが苦手で、クラスメートとの距離感に悩んでいました。そこで、彼女には訪問カウンセリングを通じて、他者とのコミュニケーションに対する自信を取り戻すためのトレーニングを行いました。

このトレーニングでは、実際の学校生活で使える簡単なコミュニケーション技術を教えるだけでなく、彼女が自分の気持ちをうまく表現できるようサポートしました。たとえば、「クラスメートに話しかけるタイミング」や「適切な自己開示の方法」など、具体的な場面を想定した練習を行いました。イメージをすることはとても大切です。学校に行き続けることをイメージするのと、学校に行ってみるイメージするのにも違いがあります。

当該生徒は、何度か五月雨登校(五月雨的に行ったり行かなかったりすること)をすることが過去にありました。本人としては努力して登校して、その後翌日休んでしまうことも疲れてしまいやむなく休んでしまっていたのです。自分が休むたびに分からなくなった翌日の時間割や、持ち物をクラスメートに確認する連絡をしていました。自分が休まず登校するイメージをしたときに、休むたびに翌日のことを聞かれたり、持ち物を連絡返したりしたのに来られない子がいたら、もし自分だったら嫌な気持ちになると本人が気づきました。少しずつクラスメートとの間の溝が深まっていたことも行きづらくなった要因になっていたかもしれないと思うようになりました。

3-3.復学までのプロセス

再登校に向けて準備を進める過程では、訪問カウンセラーが重要な役割を果たしました。登校を再開する前に、まずはクラスメートたちとの関係を見直すため、カウンセラーと相談しながらSNSを活用して連絡を取り始めました。今までは「学校を休んでしまった後に話しかけるのが気まずい」と感じていましたが、カウンセラーとの対話を通じて、「頼りにされることは迷惑ではない」「声をかけても不快に感じる人は少ない」といった認識が徐々に形成されていきました。

カウンセラーとの訪問中に、「以前聞いた質問が後で役に立った」「あれを教えてくれてありがとう」といった感謝の気持ちを伝えることが、相手との関係を深めるきっかけになることを学びました。

また、学校に行けなかった時に友人に頼って得た情報や助けを、登校した際にお礼を伝えることで、自分自身の存在が否定されていないと感じられるようになりました。こうした準備を通じて、学校に戻った時のイメージが徐々に明確になり、不安が少しずつ軽減されていきました。

再登校に向けた準備期間として3週間が設けられ、訪問カウンセラーと学校の連携によって、安心して復帰できる環境が整えられました。学校側はグループ活動やイベントの参加機会を提供し、自然にクラスメートと交流できるよう配慮しました。これにより、彼女は少しずつ「学校に行くことが怖くない」と感じられるようになり、再び学校生活への意欲が湧いてきました。

最終的に無事に学校に復帰したあと、以前とは違い積極的にクラスメートと交流するようになりました。学校生活を楽しむことができるようになり、彼女は新しいステップへと踏み出すことができました。

4.人間関係による不登校の対策のポイント

人間関係が原因で不登校になる場合、子どもが感じている孤立感や不安をしっかりと理解し、その問題に対して適切なサポートを行うことが重要です。親としては、子どもが「学校に行くことが怖い」と感じている場合、その感情を否定せず、まずは受け入れることが大切です。しかし、学校での不安は学校でしか取れませんので、きっかけづくりや長引き過ぎないようにサポートしていくことが大切です。

5.学校との連携と専門家のサポート

人間関係が原因で不登校になる場合、学校との連携が非常に重要です。親ができる範囲でのサポートも必要ですが、学校側が協力して子どもが安心できる環境を整えることや、家族以外の他者との間で自信を取り戻せることが最も効果的です。また、必要に応じて専門家のカウンセリングを受け、子どもが自分のペースで復帰できるようサポートしていきましょう。

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